残念系男子~Dear My Prince less-Charming


Before Story

 

 顔が綺麗でいじめられ、心を閉ざし、「色彩」を失って育った陽海。

 

だが、陽海の美しい貌にまったく物怖じせず、ごく普通の「少年」として接する凛子に、

陽海はほのかな恋心を抱き始める。


 

 だが、凛子は6歳も年上。

 

未だ大学生で、バンドマン。

収入も将来も安定していない身分では交際を申し込むこともできない……

 

陽海は大学院を卒業し、父の会社に就職するその日まで、凛子に恋心を明かさないと誓っていた。

 

だが……陽海の恋心は、思わぬ形で凛子本人に、知られることとなる。

 

凛子を、これ以上ないほどに傷つけてしまう形で……。


 

 心が傷つき、陽海の前に現れなくなった凛子。

そんな凛子の心を救ったのは、同じバンドのドラムス・マリモだった。

 

「二人を結婚させてやりたい」

 

周囲の望みに応じて、陽海は二人の恋を祝福する。

 

クリスマス・イブの日。

マリモと凛子が、質素な結婚式を挙げる。

 

その日の夜……陽海は密かに、海外への留学を決めるのだった。